バックパッカーだからこそ気をつけたい病気やケガ

海外旅行と病気

バックパッカーとして色々な国を旅行した経験からいうと、慣れない土地ではどのようなトラブルに見舞われるかわかりません。
体調に違和感があれば無理をしない、危険エリアには絶対に近づかない、日が沈んだら出歩かないなど、トラブルに発展させない意識を常に持っておくことが大切です。

海外でかかりやすい病気

下痢

旅先での代表的なトラブルといっていいでしょう。旅行中、どこかのタイミングでお腹が緩くなってしまうことはよくあります。現地の水を飲むことはよほどのことがない限りないでしょうが、この水で洗った食材を口にすることは十分にあり得るからです。馴染みのない細菌が体内に取り込まれることで免疫機能が働き下痢となってしまいます。
脱水症状にならないように、経口補水パウダーを安全な水で溶かして飲み、失われた水分や塩分、電解質を補給しましょう。食事面では消化のよいものにし、お腹を休めてください。
症状が長引いたり、高熱や血便、極度の腹痛などの症状が出た場合は、すぐに医師の診察を受けてください。

虫刺され

虫刺されの原因となる吸血系の虫は蚊やダニ、ヒル、ハチ、南京虫など、さまざまです。虫別の対策法として蚊は蚊帳を使います。ダニやヒルは長袖のゆったりした綿の服を着て、虫よけスプレーを使うようにしましょう。
南京虫はベッドの上に寝袋を広げたり、持参したシーツを使うようにしてください。
虫に刺されてしまった場合、保冷剤で幹部を冷やし、痛みがある場合は痛み止めの服用を。幹部を触ったり、潰したりしてはいけませんよ。皮膚の炎症やアレルギー反応があれば医師の診察を受けるようにしてください。
香水は虫を引き寄せてしまう場合があるので、使用はやめたほうがいいでしょう。
そして、予防接種を大切です。予防接種の種類によっては数回(2~3回)接種する必要があります。海外へ行く場合、できれば渡航の3カ月前から、医療機関で接種するワクチンの種類と接種日程の相談をしてください。

マラリア

マラリアは熱帯・亜熱帯地域に幅広く分布する感染症で、世界100か国以上にみられ、WHOによると年間3億人から5億人の羅漢者と150万人から270万人の死亡者があるとされています。
マラリアは蚊に刺されることで感染し、症状は寒気やおう吐、下痢、頭痛、筋肉痛、咳などの症状がでます。マラリアの中でも熱帯熱マラリアは症状が重く、治療が遅れると死亡することも。
マラリアにワクチンはないため、流行地を旅行する場合、自衛が必要です。虫刺されの項目にも挙げた通り、蚊に刺されないようにしましょう。

熱中症

日本の夏でも毎年多くの方が熱中症で倒れ、命を落としています。熱中症という病気はここ数年の間で認知されるようになりました。
日本国内でも熱中症対策は必要ですが、高温多湿の国へ行く場合でも熱中症対策は必要です。疲労感や目まい、頭痛を伴う発汗や筋肉のけいれんとちった症状が出てきたら、熱中症になっている可能性があります。
体調の異変を感じたら、すぐに日陰の涼しい場所へ移動し、安静にし体を冷やしましょう。30分休憩しても改善しない場合、救急車を呼ぶようにしてください。

高山病

高いところでは気圧が下がり空気が薄くなります。体がこのような環境に慣れていないと頭痛や不眠といった症状が見られる高山病にかかってしまいます。ひどい場合は死に至ることもある恐ろしい病気です。
高山病は標高2,500メートルから起こるといわれていますが、海外では標高4,000メートルを超える場所もあるため、経験豊富な人であっても注意しましょう。
高山病は高度を下げることで回復するため、可能であれば無理せず高度を下げるようにしてください。やむを得ない事情があるなら、酸素吸入や内服薬といった方法はありますが、一時しのぎで終わることが多いため、できるだけ早く高度を下げるようにしてください。

深部静脈血栓症(旅行者血栓症)

エコノミークラス症候群とも呼ばれている恐ろしい病気です。ロングフライトや長距離バスの場合、長時間座った状態が続くと、深部静脈血栓症になるリスクがあります。足の深部静脈に血の塊ができてしまい、息切れや胸の痛みを伴います。足に痛みを感じ、ふくらはぎに赤い熱を持った斑点ができたら、すぐに医療措置をとるべきです。予防方法としてはフライト用着圧ソックスを履いたり、水分補給を十分に行うことなどがあります。

カンジダ膣炎と膣カンジダ症

ショーツが汗ばんだ状態が長く続くと、カンジダ膣炎や膣カンジダ症を引き起こすことがあります。ショーツを選ぶ際、履き心地がよく、通気性の良い綿素材だと発汗が抑えられます。外陰部や膣内にかゆみがあったり、おりものがいつもより多い、おしっこのときヒリヒリする、といった症状がある場合はカンジダにかかっているかもしれません。念のため、外陰用殺菌クリームを持参しておくといいでしょう。

病気やケガにならないために気をつけたいこと

食べ物・水は要注意

病気の多くが食べ物や水からかかります。食事の前やトイレのあと、外出から帰ってきたら、可能な限り石けんを使い、しっかり手を洗いましょう。また、生水だけではなく、飲み物に入っている氷も要注意。生水から氷が作られている可能性が高いためです。氷を使いたいなら、ペットボトル入りの水を自分で作るようにしてください。
食べ物は完全に火が通っているものを食べるようにします。温かいうちに食べることが基本です。生の魚介類や赤みの残るピンク色の肉汁がでている肉、ミンチ肉は避けてください。こうした食べ物は有害な細菌に侵されている可能性があります。

動物には近づかない

動物好きだと犬や猫を見つけると、ついつい手を出してしまいますよね。日本でも野良犬や野良猫に対しては気をつけたいのですが、海外だと尚更です。
特に怖いのが狂犬病で発症してしまうと助からないという点で、気をつけたい病気のひとつです。東南アジアや南アジアでは狂犬病によって多くの人が命を落としています。狂犬病は犬だけではなく、サルや猫、アライグマ、スカンク、キツネなども可能性があります。コウモリは、噛み傷がなく接触しただけで狂犬病をうつしたという例があるので、決して動物には手を出さないようにしましょう。
もしも、噛まれた場合、すぐにワクチンを打つことで防ぐことが可能なので、噛まれたり引っかかれたりした場合、現地の医療機関にかかりワクチンを受けるようにしてください。
狂犬病以外にも動物かかる病気はたくさんあります。動物に触った場合、手洗いをしっかり行い病気を防ぎましょう。

事故に注意

海外で亡くなる日本人の死因として病気の次に多いのが交通事故や水難事故などです。海外では道路事情が日本と異なることが多いことが事故の原因となります。日本と環境が異なるからこそ、より注意したいところです。
溺死は事故死の中でも多く、不慣れな場所でアクティビティを楽しむ場合、決して油断しないように。浅瀬に飛び込み脊髄損傷という例もあるため、海外だからとハメを外さないようにしましょう。
女性のバックパッカーで気をつけたいのが暴力被害。夜間の外出はできるだけ避け、ホテルでも防犯対策は必要です。出入りのしやすいホテルの1階や階段横の部屋は避けるようにしましょう。

海外で病気やケガになったらどうする?

病気やケガで気になるのが医療費です。日本だと救急車は無料、健康保険もあるので3割負担ですみます。しかし、海外の場合は日本のようにはいきません。医療費が高額になるケースは少なくありません。海外だと救急車が有料であったり、医療費自体が高額だったりします。そのため、海外旅行者は医療費の高い私立病院に行くのが一般的です。さらに保険がないと治療が受けられない、入院する際補償金が必要といった国があり、医療事情によっては病気やけがの状態によって近隣の国や日本へ移送されるばあいもあります。
自分の旅行先について、公的機関のホームページなど信頼できる情報源から、最新情報を確認しておきましょう。万が一に備えて大使館や総領事館に相談できるよう、連絡先を控えておくことをおすすめします。

偽薬に要注意

日本の場合、薬局で薬を購入したり、病院で診療を受けて薬を処方されたりするのが一般的です。ところが、この認識が海外だと思わぬ落とし穴になってしまうことも。
世界の多くの地域では偽薬が問題になっています。アフリカ、アジア、南米の特定地域では30%以上が偽薬とのことです。また、偽薬ではないものの、効果が薄い薬が出回っています。
これは命に係わるマラリアの薬も例外ではありません。偽薬によって病気が治らず死亡してしまうなんて、考えたくもないですよね。
そのため、海外旅行へ行く場合、できるだけ日本国内でマラリアの薬や下痢の薬などを用意しておくようにしてください。また、海外ではチェックインした荷物を紛失することもありえます。手荷物にも薬を持っておくようにしましょう。
もしも、海外で薬が必要となった場合、以下の点を守りましょう。

許可を得ている薬局で購入し、領収書を請求する

極端に安い薬を買わない
錠剤やカプセルをバラ売りで購入する場合、元容器を見せてもらい商品名、製品番号、有効期限を記録しておきます。このような姿勢だと売り手が慎重になります。
包装に問題がないか確認すること。つづりが悪かったり、品質そのものが悪かったりするものは注意しましょう。
箱入りの場合、添付文書がついていることを確認してください。

海外旅行保険に加入しておこう

バックパッカーでの旅は何が起きても自己責任です。旅先のケガや病気だけではなく、荷物の盗難・破損などを補償してくれる海外旅行保険には必ず入っておきましょう。
クレジットカード付帯の海外旅行保険の場合、カード会社によって補償内容はさまざまですので、確認しておくことをおすすめします。
飛行機を降りたら、いつもの日本ではありません。くれぐれも注意の上、旅行を楽しみましょう。